郵便ドロボウ??
O家さんの管理するアパートで、
「郵便物が届かないんです」
という苦情がありました。
「親がぼくの保険証、こっちへ送ったっていってるんですけれど」
「郵便局に転居届けは出されましたか?」
O家さんは聞きました。
最近の郵便局は丁寧で。
「前の居住者の転出届が出てない」+「新入居者の転入届が出てない」
と、前の居住者が住んでいると判断して、新入居者の郵便物を「宛先不明」で戻してしまうことがあります。
しかし、転居届は出してる、とのこと。
どうやら郵便事故のようです。
保険証のような大事なものを普通郵便物で送るのはやめてくださいね、と、次からは書留を使うようにアドバイス。
そして数日後。
「1階の端部屋、105号室の身内のものですが」
と、女性の声で電話がかかってきました。
105号室はお年を召した男性の一人暮らしで、週に3回ほど娘さんがお世話をしに通っています。
「別のお部屋の方の郵便物が室内にあるんです」
「あらら。誤配ですかね。お手数ですが、該当するお部屋の郵便受けに入れておいていただけませんでしょうか?」
「それが、うちのおじいちゃん、うっかり開封してしまったみたいで……」
「あーー。……わかりました。それでは管理用の郵便受けに入れておいてください。私のほうで差出元にうまいこと言うておきます」
ところがです。
その後も、他の部屋の郵便物が105号で見つかるという現象が相次ぎました。
ダイヤル錠付のポストなのですが。。。。。
すきまから手が入るのか、錠をあけてしまうのか。
ダイヤルをめんどうがってまわさない人もいますから、そのせいもあるかもしれません。
並行して、認知症の症状が出始めていることも、娘さんから報告がありました。
本人はまったく悪気や犯罪意識はおろか、よその部屋のポストから郵便物をとっている、という意識もないようです。
まさか、他の部屋の入居者に、「105号の人が認知症で取ってしまいます」ともいえません。
仕方なく、郵便局と相談し、集合ポストは撤去。
郵便物は各部屋の玄関ドアポストに入れてもらうことで対処することになりました。
その後、ご老人は機嫌よくデイケアに通う毎日のようです。