武水しぎの

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道路に悩まされたアパート建設

2008年12月14日 22:37

普段なにげなく通っている道路。
道路に面してないと、建物は建てられない、ということは知っていましたが、あるアパートの建設時にいろいろと悩まされることになろうとは思いませんでした。

ことの始まりは借地が返ってきたことでした。
道路に面して二棟の長屋と倉庫が軒を接して建っていました。>諸般の事情から、建物が残ったままでの返却でしたが、築100年近い建物。リフォームして借家にするのも難しいことから、取り壊してアパートを作ろうという話に。
200坪ほどのきれいな長方形の土地です。見るかぎり、問題があるようには見えませんでした。

工務店に相談し、設計の下調べがあってまもなくです。
設計士が図面を抱えてやってきました。

「街道から入ってくる幅4Mの道路がありますよね。古い建物が面してる道路です」

「はい。いつも物件に行くときに通ってる道路ですね」

私道

「あの道路、公道じゃないんですね」

「そういえば、地主仲間のSさんとMさんの土地を使わせてもらってると、死んだ祖父から聞いたことが......」

母が言い出しました......

「じゃあ、あの土地って、道路に面してないんですか?」

「そういうわけではないんです」

設計士が図面を指しました。
前面に約4Mの道路があり(これが公道ではなかった)、裏に細い路地があります。
長屋の物干し場になっている路地です。

「こちらの道は公道です」

この路地、ところどころで猫が寝そべり、お隣の土地の長屋に住む人にいたっては、小さな菜園を作ってます。

里道

通ろうとすると洗濯物をくぐり抜けねばならない、この路地が公道?
ちなみにもっと進むとこんなところも。
里道

「これが建設予定地の道路付けの概略図です」

配置図

「従来の玄関が面しているのが、絵の下側の4m私道。これはうちも含め、このあたりの地主さんgが昔から土地を出し合っています。
『2項道路』に指定されていますから、道路が廃止されることはほぼ考えられません」

「『2項道路』?」

「従来からある『道』を『建築基準法上の道路』として指定してあるんです。このうち幅が4m以下のものを『42条2項道路』といいます。
これは私道でも『建築基準法上の道路』として扱われます。具体的には、建物を建てるときに道路の中心線から2m下がらなければいけません。
また所有者であっても、その道路によって、接道義務を満たしている、第三者の建築物の敷地がある場合は、廃止できません」

「うちの場合は裏に道がありますけど、大丈夫なんですか?」

「裏の道は『里道』です。こちらからもセットバックすることになると思いますが、幅が90センチしかなく、消防車なども入れませんから、この里道への接道を理由に、前の2項道路が廃止されることは考えにくいんです」

「それよりも問題は......」

と、うちの敷地内にある、軒と軒との間の通路が指されました。

「まだ市の図面しか見ていない段階で、確かなことは県に問い合わせないといけないのですが......この通路に『2項道路』のラインが引かれているのです」

「えっ。......と、いうことはこの通路からのセットバックしないといけないんですか!?」

それでは道路に面積を取られて、建物の建て方がかなり限定されてしまいます。
なんたること!

それにしても設計士さんは私ほどあせってないように見えますが......。

建設予定地の、既存建物の軒と軒の間の犬走り。
これが2項道路だなんて......。

驚いて自分でも市役所で見せてもらいますと、確かに2項道路を示す赤い線が引かれています。

(ここでもセットバックか......)

ショックを受けていたのですが、そこへ設計士さんから、連絡がありました。

「やはり大丈夫でした!」

2項道路の指定は県がしています。そこで県庁で確認すると、道路そのものには「2項道路」の赤線が引かれているのですが、

「幅員1.8m以下の部分を除く」

という、但し書がついているのだそうです。

「手続きなし、というわけにはいきませんが、届を出せばいいそうです」

そういって出された紙には、『2項道路の廃止に準ずる』云々と書いてありました。但し書ついてるから2項道路じゃないけど、2項道路の赤線は引いてあるから廃止に準ずる手続きがいるとかで。
ああややこしい!

そして2項道路を廃止するには、その道路を使用している――すなわち道路に面している人全員の同意が必要なのですが、今回は町会長のみでよいそうです。

ほっと胸をなでおろしたのもつかの間。
この町会長さんのハンコがクセモノでした......。

「みんなこの道を通って、駅のほうへ行ってるんや」
「あんたンとこの土地やさかい、借家建てはること自体にどうこう言えんけど、住民の道は尊重してもらわないと」
「自転車は通れないと困る」

うちの私有地だということは、町会長もよくわかってはるのですが

「何十年も通ってきた道がなくなるのは、みなそう簡単に納得せーへん」

と、いうことだそうで。

何十年も、たって、それは単なる好意で! 権利ができるとかそんなわけでは!

「うん、だからこれは『お願い』なんやけどな」

「でも、ココ通れないとハンコくれはらへんのですよね。。。。」

「うん」

うっかり言い合いをしそうになるのを察したのか、設計士さんが

「なんとかよい案を考えますので!」

と、間に入りました。

設計士さん、本当にうまくやりました。

建物と駐車場の配置を調節し、以前のように一直線とはいきませんが、わずかな曲がりで自転車も通り抜けられるようにしたのです。

これなら、と町会長も納得。

「わしもな、黙って判を押す、というわけにはいかんのよ。ちゃんと地元のことを考えた、ということをわかってもらわんと、みな納得せーへんやろ」

と言いながらハンコを下さいました。
で、でもそのセリフを初めに言ってくれはったら、こっちも感情的にならないのに!

と、いうような経過で、なんとか道路づけの問題は解決し、無事にアパートが建ちました。町会長さんには今でもイロイロお世話になってます(^^)

コメント(1)

電動歯ブラシ| 2009年2月26日 23:11

大家さんというのは結構苦労するものなんですね。
はじめて知りました。