武水しぎの

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ハウスクリーニングの秘密

2005年10月15日 00:01
 

ハウスクリーニング特約。非常によくある特約のひとつで、
「賃借人は退去時に、賃貸人指定の業者によるハウスクリーニングの費用を負担する」
という内容が代表例です。
よく敷金裁判などでも有効性をめぐって争われ、とりあえずは
「契約時にちゃんと説明があれば有効」
というところに落ち着いております。
でも、このハウスクリーニング特約。ホントに賃借人に不利な特約なのか? なんのためにこんな特約があって、どういうメリットとデメリットがあるのか? それをもっぺん、よく考えてみよう、というのが本稿の趣旨でございます。

「法律上の原則」では、賃借人は常識的な清掃をして退去すればいいことになっております。なぜわざわざ「」をつけたかといいますと、こないだの退去立合で
「退去時の掃除はしないのが原則だ!」
とおっしゃった方がいらっしゃるからで(苦笑)。その方ローカルの「原則」であることを祈ります。
話を戻して。んでもってハウスクリーニング費用のごときものは家賃に入れ込み、「入退去のたびごとに専門業者による掃除をしたけりゃ、家賃収入からだしなさい」というのが「法律上の原則」でございます。
ただ、「法律上の原則」と「一般的な契約」が違うのもよくあること。ハウスクリーニング特約が普通にあるところでは、相場も特約があることを前提に形成されてます。ですから「特約ナシ」なら割安物件。
賃料交渉しといて退去時に特約に文句を言うと、大家が嫌ぁな顔すること請け合いです(苦笑)。

さて。なんでこんな特約があるかといいますと。大家の立場から言いますと「常識的な清掃」というのが千差万別すぎるのも一つの理由。毎日掃除する人もいれば1週間1回の人もあり、ひょっとしてぜんぜんしてないじゃないか、という人もあり。日常の生活でまず差が出る上に、荷物を引き上げたあとの清掃もまたバラツキが多いのなんの(退去後写真館参照)。
「もう出るときに掃除しなくていいです(>_<) 費用だけ払ってください」という心境になります。いちいち判定するのも、基準を作っても、「常識的な掃除」という「常識」の部分がそれぞれ違うだけにみんなに納得してもらうのは至難のワザ。そこで、「クリーニング費用は賃料の中に入れずに、特約で別だて」というのがハウスクリーニング特約です。
ですから、この特約がある場合、丁寧に掃除した人はバカを見るような気がしてしまいます。汚くしても取られる費用は一緒……(汗) ま、汚い人は他にもポカが多いですから、クリーニングだけですむってことは経験上まれなんですが、きれいに暮らしている人がそう思うのは無理ないと思います。

ハウスクリーニングというのは、だいたい金額が決まっています。何年暮らしていようが、ほぼ定額。(相場が大きくかわれば別ですが)
例えば、ワンルームでハウスクリーニングが2万円だとしましょう。多くの賃貸契約は2年契約ですから、法律上の原則でいくと、家賃のうち833円/月がハウスクリーニング代です。
そして、「賃料に含まれる」ということは、住み続ける限り支払い続ける……ということで。長期間住めば住むほど多くの費用を支払うことになります。でも、「部屋の使用料」なら住んでる期間中ずっと払うのは当然ですが、「部屋の掃除代」なら何年住もうが一回支払えばそれでいいはず。ハウスクリーニング特約のように別立てにして1回こっきりの支払い、というのもそれなりに合理的な気がしませんか? 私は掃除が苦手だからそう思うだけかな?  

ところで、よく、ハウスクリーニングのような特約を借主側が評するときに、
「特約ナシの物件と比べて賃料が安いならいざしらず……」という言い回しがあります。 ところがハウスクリーニングの占める費用は833円/月。ファミリー向けでもハウスクリーニング代が4万円だとして、1667円/月です。この程度の差だと相場の違いとしては目に見えません。相場の幅の中に吸収されてしまう気がします。
「相場が違う」
というには、せめて5000円ぐらいは差が出ないと、そんな気分には……。 我田引水ごめんあそばしませ(笑)。 

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