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リビングに水が漏るリビングに水が漏れている、とO家さんに電話があったのはちょうど昼食を取っている時でした。「ルミエール西大路105の山崎ですが、天井から水が漏れてるんです」 「えっ、水漏れですか。洗面所ですか?」 「いえ、リビングなんです」 「キッチン流しのあたりでしょうか?」 「いえ、キッチンとは正反対の……」 O家さんは首をひねりました。 そんなところに水周りはありませんし、配管もありません。 とりあえずはセオリーにしたがって真上の部屋に連絡を取ります。 205号室はファミリーレストランのサンパークが社宅として契約しています。 契約書によれば、単身社員が3人入居しているはずです。そして、205号室は今月末――あと数日で退去予定でした。 入居者に連絡を取ろうとしたO家さんですが、ハタと気づきました。この部屋の入居者は、固定電話は引いておらず、何か連絡事項があるときには会社に電話するか、手紙でしていたのです。 とるものもとりあえず、O家さんは現地に赴き、205号室のベルを鳴らしました。 すぐに若い男性の応答があり、ドアが開いて笑顔がO家さんを迎えました。 「大家さんですか、長い間お世話になりました。今、ちょうど引越し前の掃除をみんなでしているところなんです」 屈託のない挨拶です。O家さんは下の部屋で水が漏れていることを話し…………ている時に、水音に気づきました。リビングの方からです。 「あの、失礼ながら、今はどこの掃除を?」 「リビングですが」 「入らせていただいてよろしいですか?」 「どうぞ、どうぞ」 リビングに入ったO家さんは、唖然としました。 そこでは2人の男性が掃除を続けていました。キッチン水洗にホースをつなぎ、水を床に撒きながら、それはもう熱心にデッキブラシをかけています。 「な、なんて掃除をするんですか!!!(怒)」 思わず怒鳴りつけて、即座に掃除をやめさせ、105号室に謝りに行かせました。 全く無邪気に、店舗と同じ掃除をしていた入居者たちはぽかんとしていましたが、水漏れ現場を見て納得したのか、ひどく落ち込んでO家さんにも陳謝しました。 幸い、105号室の被害は天井の水染みだけで、乾けば支障なさそうです。 今後クロスが浮いてきた場合は、サンパークが処置費用を出す、ということでおさまり、社宅担当者は恐縮してO家さんの元に「サンパーク特製ドレッシング」を置いてゆきました。 |
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