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法人契約の面倒

借家業をしておりますと、しばしば法人契約というものがございます。賃借人が法人である場合のことをこう呼ぶのですが、通常の個人契約と違う対応をせまられることがときどきあるのです。

O家さんの場合、もっぱら住居として建物を賃借しておりますので、法人契約=法人が社宅として民間物件を借り上げることを指します。当然、契約者は法人です。
これが銀行の借入などですと、連帯保証人は代表取締役社長などになるのですが、一般の賃貸の契約では、連帯保証人を入居者にする慣習があります。

まあ、まともな会社ですときちんと家賃は会社が払ってくれます。光熱水道代も会社から払われます。
ところが、おうおうにして契約者たる会社からの支払がないのが、法人契約なのです。

じゃあ、誰が家賃等を払うのか。――入居者です。
「電気も水道も入居者が使った分だから、請求は入居者にしてね」
よくあるパターンでございます。それでも契約したのは法人ですから、特約でもない限りまず法人に請求を出すべきなのですが
「事務が手間だから光熱水道代の請求は直接入居者にしてね」
これにもO家さんはうんということが多いです。O家さんだって事業をしてますから、中小企業のそういう気持ちはよおくわかります。
それでも家賃と共益費は会社から支払われるのが、普通の会社です。
「駐車場も入居者でよろしく」
これには駐車場の契約のみを入居者と直接かわすことで対応します。

普通でない場合。
家賃と共益費も入居者が直接払ってきます。連帯保証人が払ってくれてる以上、契約違反というわけではありませんが、これがけっこう面倒事の発端になるのです。
O家さんは会社へ請求書を出します。と、会社から電話。
「すいませーん。請求書、入居者の方へお願いします^ ^)」
「あんた、契約者でしょうが」
毎月のやりとりなので、少々O家さんもうんざりしております。
「うちの会社の規則で、家賃は従業員もちなんで」
「じゃ、給料から天引きでもなんでもしたらいかがです」
「それも規定でできないんスよ」
「なんにしても、請求書はそっちへ送りますよ」
「じゃ、従業員にまわしておきます^ ^)」

いやこれでは、どちらが契約者かわかりません。全ての支払を賃借人たる法人ではなく、連帯保証人の入居者がしているのですから。
(これで法人契約の意味があるのだろーか……)
大家業をはじめて間もない頃、O家さんは考えこんだものです。

こういうパターンは滞納が多いことが経験的に分かってきました。
それでも大抵は1-2ヶ月遅れで払ってまいります。

経験を経たO家さんは、この法人契約の意味を悟りました。
従業員の給料では入居時の審査がとおりにくいため、便宜上法人契約の形をとっているのです。
滞納が進んでも、法人は
「従業員に言っておきます^ ^)」
を繰り返すのみで知らん顔。通常ならば解約と明渡しを求めていくのですが、この法人はO家さんにとってお得意先なのです。なにせ10戸も契約してくれてるのですから。滞納が進んでいるのはそのうちの1戸だけです。あまり強硬な態度に出て逆に向こうから解約されてもO家さんは困るのです。
悩んだ末、O家さんは少額訴訟をほのめかした内容証明を会社に送りました。すると滞納分だけの支払は会社からありましたが、その後はまた同じことの繰り返しです。

さて、それからほどなく。不況の嵐のせいか、O家さんの督促をうるさく思ったのか、その滞納が進んだ従業員は解雇されてしまいました。
「じゃあ、ご解約ですね」
とO家さんが確認しますと
「はい」と会社の返事。
「明渡しお願いしますよ」
「はい、本人に言っておきます^ ^)」
「(怒)」←声にできないキモチ

その入居者。
「引越し費用ないんです(泣)」
「原状回復費用なんてとても(泣)」
けっこう傷があり、敷金はほとんどもどらないか、足が出そうです。
「会社は払ってくれないんス(泣)」
と、いうことで立退く気はぜんぜんございません。契約者の変更をしてくれとの依頼です。
「そうはいっても、あなた無職でしょう」
「いや、一所懸命働きますから」
「再就職先決まってんですか?」
「……まだです」
「新規契約になるから、敷金入れてもらわんといかんし、保証人もたててもらわな。今までの敷金は会社のもんやし」
「そこをなんとか」
「自分でなんとかしてください」

この入居者さん、それをなんとかしてきました。解約ではなく、契約者の名義変更を会社にOKさせたのです。敷金の問題はとりあえずクリア。あとは彼の支払能力の問題です。保証人は自分の母親にうんといわせました。
でもこのお母さん、年金暮らしですのであまり余裕はありません。O家さんはこれではやはりうんといえません。
しかし、この不況です。空室は一旦でるとなかなか埋まりません。また、あくまで居座ると言い張るのを裁判で立ち退かせるとなると、多額の費用が要ります。


そこでもう一度会社を説得してもらい、一旦返した敷金を退職金をして入居者に支給してもらうことに。もともと足がでそうな敷金ですから、会社も納得しやすかったようです。
入居者は今度はきちんと賃借人としての契約です。ただ、1年の定期借家となりました。ついでに再就職までのあいだ、物件共用部の掃除や雑用をしてもらうことに。

事件としてはめずらしく、丸く納まることになりそうです。

敷金・原状回復特集

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