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締め出された! 

 O家さんの家の筋向いに3軒長屋があります。O家さんの持ってる借家です。うっかりすると戦前から建ってるんじゃないかと思うような建物ですが、O家さんの親も祖父も、また代々の住人の方も大事に扱ってきたので、しっかりと風情のいい建物になっています。長屋とはいえ、二階建ての洋風長屋、小さな門と庭まで付いてますから、今ですともっと洒落た言い方があるのでしょうが、ベランダはないのでテラスハウスでも無し。やっぱ長屋としか言いようがありません。
さて、ここに小学生のお子さんのいるご一家が越されてきました。ご夫婦とぴかぴかの一年生の三人暮らしです。
ある日、その坊ンがO家さんの家を訪れました。
「あのね。かぎ忘れておうちに入れないの」
たまたまお父さんもお母さんも仕事で留守。学童保育が終わって帰ってきたところのようです。
O家さんはお母さんに電話で事情を話し、合鍵で開けて子どもを中に入れますね、と伝えました。
ところが、合鍵が入りません! 何度やっても鍵が途中まで入らない。入居時の書類と、O家さんが持っている鍵のNo.を照らし合わせましたが、間違ってはいません。
「……鍵、変えた?」
と聞きますと、
「ううん」
と子どもはかぶりを振ります。でも、入りません。O家さんがほとほと困っていると、子どもが言いました。
「あのね。開かないかなー、と思って、いろいろやってみたの」
ん? ……いろいろ?
ふと、玄関扉の前のたたきを見てみると、小枝に針金。
「……ひょっとして……。入れてみた?」
「うん。それでも開かないからお願いに来たの」
鍵穴に針金を入れたりして、子どもは自助努力をしてみたようです。そしてその時に鍵穴にゴミが詰まってしまったようです。これは鍵屋を呼ばなければ……。
と、思ったO家さん、ふと思いつきました。この物件は、建物の反対側にも細い道路があるのです。風呂の横から出られるようになっており、住人はみな、自分の家の裏に洗濯物を干すので、道路にも関わらずほとんど長屋の裏庭状態となり、ほとんど通る人はいません。でも道路は道路ですから、入ろうと思えば入れます。その裏の入り口が施錠されていなければ、そこから室内に入り、玄関の鍵を開けることができます。
「裏から入ってみていいかな?」
「いいよー」
O家さんは一応子どもに断って、裏へ回りました。1軒目の植木鉢の群れををまたぎ、2軒目の洗濯物をかいくぐり、3軒目が目標の家です。O家さんは祈るような気持ちで裏口の引き戸を引きました。幸い開いていたので、「はい、ごめんなさいよ」とつぶやきながらO家さんは室内へ。居間を突っ切って玄関を開けました。
……なんだか空き巣になった気分です。子どもは大喜びで部屋に入りましたが、複雑な気持ちにO家さんはなりました。
ややあって、お母さんが帰ってきたので事情を伝え、
「勝手に立ち入りまして申し訳ありません」
「いえこちらこそご迷惑をかけまして……」と謝罪合戦。鍵はシリンダー交換になりました。

この子どもの場合、向かいですからO家さんも道で会うたびに挨拶し、顔もよく知ってます。しかし少し離れたマンションですと、なかなかそうもいきません。
「締め出されたので開けていただけませんかねー」
と今度は年配の男性から電話がかかってきました。
「何号室の方ですか?」
と聞くと
「306の小川だけれども、孫の散歩に出てる間に仕事に行ってしもうたらしくてな」
しかし、小川さんは若夫婦と子ども2人。年配の男性は住んでないのです。「孫」という口ぶりからすると、どうやら借主の父親のようです。
「失礼ですが、保証人の田中さんですかねー」
「うん。そうそう」
けれども、O家さんは田中さんの顔を知りません。
「なにか身分証明になるものお持ちですか」
そう聞くと、電話の向こうの声は少しむっとしたようです。
「孫の散歩にそんなもの持ってない!」
それでは鍵を開けられないのです。誰かがそう偽って泥棒に入ろうとしているかもしれないのですから。
「実際にそれで泥棒に入られたマンションがありましてね……」
とO家さんが説明しますと、一応納得はされました。しかし、今日は小川さん夫婦は仕事で遅くなるので、そもそもそれで孫の世話に泊まりに来た、とのこと。仕方ないので田中さんの自宅に孫を連れて帰ってもらい、そのことを小川さんの留守電に入れておきました。
明けて次の日。小川さんも「開けてくれたらいいのに」と、ちょっと不機嫌そうでしたが、泥棒の実例を聞いてため息。O家さんも小川さんに確認電話を入れて開けようかな、とは思ったのですが、口裏を合わせて芝居をする悪人もいると聞きます。こういうときはご近所づきあいの大事さをしみじみ噛み締めるO家さんでした。



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