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大阪簡裁平成15年10月16日判決

平成15年10月16日 判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官 口頭弁論終結日
平成15年10月2日
少額訴訟判決

原告 甲

被告 乙 株式会社

          主文

1  被告は.原告に対し、金30万円を支払え。
2  訴訟費用は被告の負担とする。
3  この判決は仮に執行することができる.

          事実 及び 理由

第1  請求

    主文1項と同旨

第2  事案の概要

1 請求原因の要旨

(1) 原告と被告は、平成14年10月21目、別紙物件目録記載の物件(以下「本件物件」という。)を賃貸借期間平成14年10月23日から平成24年3月31日、賃料1か月6万9000円、共益費1か月1万1025円の約定で被告が原告に賃貸するとの定期建物賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)を締結するとともに、保証金(敷金)を40万 円とする旨を合意し、上記契約のころ、原告は、被告に対し、これを預け入れ、本件物件の引渡しを受けた。

(2) 原告は、被告に対し.事前に解約申し入れをした上、平成15年4月22日本件賃貸借契約を解約し、同日、被告に対し、本件物件を明け渡した。本件物件について、引渡を受けてから明け渡すまでの期間の賃料不払い及び原告の責めに帰すべき損傷は、いずれもない。

(3) よって、原告は、被告に対し.敷金返還請求権に基づき、既に支払いを受けた10万円を控除した残額30万円の支払いを求める。

2 争点

   敷引特約の効力

(被告の主張)
  本件賃貸借契約には、契約終了にさいし、保証金40万円から30万円を差し引いて返還するとの敷引特約がある。

 (原告の主張)
  上記敷引特約は、民法その他の法律の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、義務を加重する条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害する条項であるから、消費者契約法10条に違反し、無効である。

 第3 当裁判所の判断

1 請求原因事実及び被告の主張のとおりの敷引特約のあることについては争いがない(上記保証金が敷金であること、契約上、保証金の預託先及び返還請求先は株式会社Gとされているが、同社は実質上被告と一体と見るこ とができることについでは.被告もこれを認める。)

2 被告代表者及び証人Kの陳述によれば、本件物件の属する建物の賃貸マンション(以下「本件賃貸マンション」という。)は、主として法人の社宅向けに10年の定期賃貸借契約物件として企図されており、敷引きは、

@10年聞の継続を前提にその間の使用の対価すなわち家賃の一部前払いとし、

A場所的価値に対する対価及び仲介手数料の一部負担としての礼金として、その額が設定されていることが認められる。

ただし入居の実態とし て、2、3割は個人契約者であること、家賃は周辺物件と比較して特に低く抑えられているものではなく、平均 水準であることについては争いがない。

3   一般に、敷金ないし保証金は、貸賃借契約にさいし、賃料その他の債務を担保する目的で、賃借人から賃貸人に交付される金銭であって、契約終了のさいに、債務不履行がなければ、全額賃借人に返還されるべきものと解されている。関西地方においては、敷金返還のさいにその一部を控除することをあらかじめ賃貸人と賃借人との間で合意する敷引きの慣習のあることは、当裁判所に顕著な事実であるが、敷引きには種々の性質のものがあるから、その合意の内容が明確で、合理性があり、賃借人に一方的に不利益なものでない限り、その合意は尊重されるべきであって、一般的に、敷引特約が直ちに公序良俗に違反し、あるいは信義則に反して賃借人の利益を一方的に害するものであるとはいえない。本件賃貸マンションについてこれを検討すれば、法人社宅向けの10年の定期賃貸借契約物件であること、立地条件が優れていることから、前記2@Aの趣旨の敷引きにはそれなりの合理牲があり、通常の場合には契約当事者がその趣旨を十分理解して合意をなす以上、その敷引割合の多いことのみをもって無効とすべきではない。しかし、契約書(甲5)及び重要事項説明書(乙1)には、敷引金額が記載され ているだけで、その趣旨や内容は明示されておらず、契約締結にさいし、口頭でその説明があったことも伺われ ない。
  さらに、原告は個人として契約したものであり、途中解約は転勤というやむを得ない事情によるものであ ること、入居期間は約6か月に過ぎず、原告の責めに帰すべき本件物件の損傷はなく、自然損耗もほとんど考えられないことなど本件特有の事情が認められ、途中解約によって害される被告の将来の家賃収入に対する期待 は、次の入居者を見つける事とで容易に回復可能であることを考慮すれば、本件の場合、前記2@Aの趣旨で設定された敷引締結を個人契約者である原告にそのまま適用し、保証金の75パーセントもの敷引きを行うことば、 当事者問の信義衝平に照らし、相当ではない。
  したがって、個人契約者(消費者)に対しても入居期間の長短にか かわらず一律に保証金40万円のうち30万円を差し引くこととなる前記敷引特約は、この限度で、民法及び借地借家法等の関連法規(判例、学説などにより一般的に承認された解釈を含む。)の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、義務を加重する条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害する条項であるといえるから、 消費者契約法10粂により無効である。

4 なお、証拠(乙1・2)によれば.原告は、本件賃貸借契約を媒介した株式会社○○○○の執行役員であり、 一般消費者とは異なり不動産取引に精通していることが認められるが、原告が、形式的にも実質的にも個人とし て本件賃貸借契約を締持したことには当事者問に争いがなく、消費者契約法上の消費者であるかどうかは、個別的な知誰経験を捨象して定型的に判断されるべきであるから、原告を消費者と認めることができる。

5 以上によれば、原告の請求には理由がある。

大阪簡易裁判所

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