賃貸業界で、借主の賃料を保証する会社を「保証会社」と呼び習わしております。
ここ数年で急速に普及してきましたので、耳にされた方も多いのではないでしょうか?
何をする会社かといいますと、
「借主が賃料を滞ったときに、借主に代わって貸主に賃料を払う」
会社です。
保証料はいりますが、場合によっては連帯保証人もいりません。身内や知人に保証人をお願いするのは、けっこう気が重いものですから、そういう時には重宝します。
でも、誤解も多いみたいです……(汗)。
よくあるパターンその1
「滞納賃料は保証会社が払ってくれるはずなのに、保証会社が私(借主)に請求してきた!」
――「保険みたいなものですよ」
と、いう営業トークも、一部ではされているみたいですね。
↑しかし、これは大嘘です。本当のところを知ってそう言っているなら詐欺行為スレスレですし、知らずに言ってるなら、無知な人間がしゃべっていると思いましょう。
「保険」ではなく「保証」なのです。
確かに、滞納時に借主に代わって賃料を払ってくれます。
でも、保証会社が立替払いした賃料は、しっかり借主に請求がいきます。
このあたりは連帯保証人の場合でも同じで、連帯保証人は自分が借主に代わって払った賃料を借主に請求する権利があります。
連帯保証人は身内や知己の人間の場合が多いですから、きっちり請求・取立することは少ないでしょうが、保証会社は広い意味での金融機関ですから、管理会社や貸主よりも取立はきびしく、きっちりしています。
このあたり、借主の方は勘違いしないように利用しなければなりません。
よくあるパターンその2
「保証会社を利用するなら、連帯保証人はいらないはずなのに、保証人もたてることを要求された!」
これは別におかしなことではありません。連帯保証人を二人たててほしい、と言われることがあるのと同じです。
連帯保証人が付く分、リスクが低くなりますので、保証料は安くなる場合が多いです。
要求、というときつく感じますが、単なる契約条件の提示です。不満があれば交渉はOKです。ただ、貸主側が交渉に応じないことも当然あります。
その場合は、条件をのむか、物件をあきらめるかしなければなりません。
よくあるパターンその3
「私には立派に連帯保証人になりうる人物がいるのに、また自分の収入も充分なのに、保証会社の利用を要求された!」
保証人を要求するのも、保証会社利用を要求するのも、同じようなものです。
「保証会社の利用ができるのに、連帯保証人を要求された!」
というのと本質的に同じです。
連帯保証人と保証会社。それぞれ一長一短がありますので、どちらになるかは個々の契約で決めればいいことなのです。
要求、というときつく感じますが……(以下、パターン2と同文)。)
貸主にとってはありがたいものです。多くの保証契約は、滞納賃料だけでなく、明け渡し裁判の費用も保証されます。
ただ、保証部分は固定費のみのところがほとんど。水道代などの変動費は保証外です。
ですから保証会社に取り立てられる事態になれば、腹いせに水道を思いっきり流す……なんてことはやめて下さいね。
気になる保証料をどちらが払うか、なのですが。
これは貸し借りどちらが払ってもよいのです。
「連帯保証人をたてるのを借主の義務にした契約なんだから、その代わりに保証会社使うなら借主もち」
「貸主のリスクヘッジなんだから、当然貸主もち」
どちらの意見も聞きますが、どちらでもいいんです。交渉次第。貸し借り双方で分担する場合もあります。
ちなみに銀行の住宅ローン等でも保証契約のついている商品がありますが、これは借主もちのケースが多いです。
さて、ここからはある意味ちょっとびっくりなお話。
保証会社の中には、借主にだまって貸主が入れる商品もあります。
おそらく債権譲渡手続きをする形かな、と想像してますが……。
貸主が保証会社と契約し、借主に滞納が発生した場合は保証会社が賃料を払い、保証会社が借主に請求します。
当然、保証料は貸主もち。
逆に、貸主が知らなくても、借主が契約できる商品もあります。
これは賃料保証を貸主にしている管理会社が重宝しているみたいですね。
この間、仲介業者さんを回ったとき、
「うちでは原則的にほとんどのお客さん(借主)に(保証契約に)入ってもらってるんですよ」
と、いうところが何軒かありました。
管理物件を多く持っている業者さんがそう言うのはすごく納得! なのですが、どうみても管理物件ほとんどないのにそういったトコロがあり……(- -;)。
ちなみに
「うちには何の得にもならないんですけどーー」
と言う仲介業者さんもありますが、仲介業者さんにはきちんと手数料収入が入ります。
それが「得」かどうかは個々によって違うと思いますけれど。