損害保険――入居者の方は仲介業者さんで、たいがい入らされていると思います。
借家人向けの賠償責任保険が付いた、住宅総合保険。
不慮の事故の際、自分の財産(家財)や他人の財産(物件の設備等)に生じた被害に対して保険金のおりる、ありがたいものです。
ほとんどの不動産屋さんは、損害保険会社の代理店となってますので、契約時に勧められます。
と、ゆーか、ほとんど料金の一部みたいに取り扱われていることも多いので、言われるままに保険料を支払っている人も多いと思います。
また、物件を管理している会社にも損保代理店となって、管理会社指定の損害保険の加入を賃貸契約上の義務にしている場合もあります。
とはいえ、賃貸借契約と損害保険は本来別物。義務付けています、といいつつ口頭で伝えるのみで契約書には明記されてない場合も多いんですけれどもね。
じゃあ、損害保険をやめちゃって、年間1-2万円の節約! と考えた人。
お願いします、やめてください。ちゃんと保険に入りましょう。
まず、火災等の場合。失火の場合、延焼先への被害は重大な過失でない限り免除されますが、賃貸物件の場合はそうはいきません。貸主に対して「善良なる管理者の義務」を果たさなかったための損害賠償責任が生じます。
火事なんてめったにおこらない。だからほとんど掛け捨て?
そのとおりです。火事なんてめったに起こりません。
実は一番この保険の活躍するのは水漏れなんです。
うちでは軽微なものも含め、年に数回あります。風呂の水があふれた、洗濯機から漏水した、トイレが詰まった、配管からの水漏れがあった……
などなど、水漏れ事故は集合住宅にはつきものです。
わずかな水漏れでも防水部分を超えれば、あっという間に下の階へ漏れていきます。
今までで経験した中で一番ひどい例は、2部屋全部水浸し、クローゼットの衣類は全滅。押入れの布団や収納物も全滅。当然クロスや床も全部張り替え。被害総額は150万円ほどにのぼりました。
これは極端な例ですが、洗面所の天井から水がポタリ、ポタリ……。程度はよくあることです。この場合でも、浮いたクロスの張りなおし、水漏れの対応に走る業者等の費用などで、うっかりするとかなりの額になっちゃうこともあります。
配管からの水漏れは、原則賃貸人の責任ですが部屋のなかで起こった場合、賃借人が報告を怠ったために修理が遅れると、賃借人の管理責任が問われることもあります。
これらの多くは、保険金の支払い対象になります。水漏れ事故があってもあわてずに管理会社や賃貸人だけでなく、損保会社へ連絡してください。そのための保険料です(笑)。
じゃ、損害保険代は節約しないほうがいいのか?
とは限りません。
貸主の指定があれば仕方ありませんが、特に指定のない場合は、家財の額などに応じて保険を選ぶことができます。
仲介業者や管理会社では細かい額の設定はせず、単身者かファミリーかぐらいの種別しかありません。保険金の上限等、制限のあることもありますが、細かい設定をすることにより、場合によってはかなりの節約ができます。
また、借家人賠償責任付の住宅総合保険は、各損保会社だけでなく、JA共済や全労済などの共済もあります。
また、管理会社指定も悪いことばかりではありません。少しでも収入を増やすために代理店になっているわけですが、事故の場合も取り次いでくれます。特に賃貸人に代わって管理している場合は、賃借人に賠償してもらうよりも保険を使うほうが安全・確実ですから(爆)、手続きもきちんと説明してもらえることが期待できます。
単なる仲介業者さんの指定の場合は、対応が分かれることもあるようです。
さて、では視点を変えて賃貸人の方
保険に入ってない方はほとんどないと思いますが。
使ってますか?
上にかいたように、雨漏り、水漏れの多くには住宅総合保険が使えます。
火災保険単独でなく、住宅総合保険の場合が多いと思いますので、手元の保険証書を確かめてみてください。ちなみに住宅金融公庫特約火災保険は、名前は「火災保険」でも住宅総合保険ですので火災以外にも使えます。
管理会社に任せておいても、保険の話はなしで普通に修理代の請求が来ることは多いものです。
特に兼業していると、ついついふっと支払い勝ちです。
でもちょっと待った。
事故時には速やかに連絡してもらい、保険が使えるかどうか損保会社に確かめてみましょう。
保険料の検討についても、賃借人の方と同じことが言えます。
住宅金融公庫で融資を受けた場合は、指定されていますが、完済した場合。
また民間融資で指定のない場合。
細かい設定を見直すことによって、保険料が変わってきます。また貯蓄性のある商品も出ていますので、損保各社や各共済の商品を一度じっくり見るのもいいものかと思います。