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給湯器噴水事件賃貸マンションに限らず、集合住宅での水漏れ事故はよくあることです。配管の劣化による水漏れもありますが、多いのはやはり入居者の失敗。第3話の洗濯機のホース、バスポンプ、トイレの詰まりなどが代表的です。中には第9話のように床に水を撒き散らして掃除した、なんて例もありました。 さて、今回の事件もまたもや水漏れの話なのです。 それは築5年のワンルームマンションでの出来事です。 ある、冬の早朝でした。強い寒気団が南下し、この冬一番の冷え込みとなったその日。 O家さんの家に水漏れの連絡が入りました。 冬の早朝、とくればピンときます。凍結による水道管の破裂です。でもこの物件の水道管はマンション内のパイプスペースの中で、断熱材でぐるぐる巻きにされています。屋外で露出してる配管なんてほとんどありません。共用水栓だってきちんと断熱してあります。 「被害は?」 と、O家さんが聞くと、管理会社のF本さんが答えました。 「幸い1階でしたので、他の部屋への被害はありません。でもすごかったですよ。廊下が噴水状態でした」 共用廊下には、部屋ごとに給湯器がついています。給湯器への給水管が凍結で破裂したのです。 「ともかく、メーターボックス内の元栓閉じて水は止めました。でも給湯器はオシャカだと思います」 昔、よくあったパターンです。O家さんが学生時代、下宿していた家では、必ず給湯器の水抜きをし、水道は細く出しっ放しにして寝ていたものです。学生だったO家さんが一番就寝時間が遅く、それはO家さんの仕事になっていました。 でも今は給湯器に凍結防止用のヒーターがついていますから、めったに破裂などしないのですが。ヒーターが故障でもしてたんでしょうか。 「もう一度部屋番教えてくれる?」 「116号室です」 ……116号室。嫌な予感がしました。4カ月ほどの滞納があり、管理会社が一所懸命督促をかけているはずです。 「電気メーターをチェックしたんですが、、、電気切られてますね」 「それって……」 O家さんは現地を見に行きました。 電気代滞納のために、電力会社から電気を止められているようです。メーターから出ている線が無残に断ち切られ、被覆の中の銅線が朝日を浴びてきらめいています。 「元栓閉めましたから、起きて水が出なけりゃ文句言ってくると思うんですけどね」 F本さんはそこで言葉を切りました。でも、言わなかった続きの言葉は、O家さんにもわかります。 水漏れの連絡を受けたら、まず入居者に連絡します。今、この場に入居者がいない。それだけなら単に泊まりがけで外出中かもしれません。でも、4カ月の滞納に、切られた電気。 「やっぱ、ドロンかな」 「でしょうねぇ」 O家さんとF本さんは寂しく目を見交わしました。 「じゃ、その方向で保証人さんとまず話してみます」 と、F本さんは会社へ戻ってゆきました。早朝の対応に感謝です。 人のいない部屋でも水漏れは起こる、と知ったO家さん。空き部屋でも水栓や水抜き、ブレーカーの状態はチェックしとかなけりゃ、と思い知った次第です。 |
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